手付金(不動産売買)とは?契約後の返金ルールをわかりやすく解説!

不動産の売買契約を締結する際、その証として買主から売主へ支払われる「手付金」。この手付金を“仮契約金”のように軽く解釈している方も、たまにいらっしゃいます。

そこで今回は、手付金とは?の基本や、契約後の返金ルールなどについて解説します。

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不動産売買の手付金とは?

あらためて、手付金とは、売買契約が成立した証として授受されるお金であり、物件を引き渡せる条件が整ったところで代金の一部に充当し、最後に残代金を買主が売主に支払います。

手付金のやり取り=正式な取引スタートの意味ですから、その時点から契約当事者は法的責任を負うことになります。

代金の支払いが期間を置いて2回に分けられる理由は…

  • 契約締結後の買主のローン審査に時間を要するから
  • 売主が物件を補修したり、建物を解体するなどの準備期間を要するから

例えば、3,500万円の中古住宅の売買契約を手付金350万円で結び、買主は住宅ローン審査を銀行に申請、売主は測量や室内リフォームを手配……1カ月半後にそれぞれ準備完了したので、買主は残金3,150万円を支払い、売主は物件を引き渡す-という流れになります。

本当は、即日一括払いで売買契約の締結〜引き渡しを行えればいいのですが、高額な不動産取引となればそうもいきません。

関連記事:決済(不動産売買)の流れ&持ち物は?売主・買主が会わなくてもできる?

手付金の相場や上限はある?契約書の条項をチェック!

手付金については、売買契約書の条項に以下のような内容が盛り込まれます。

  • 手付金の額をいくらにするか
  • 買主は手付金を放棄すれば、途中で契約を解除できる(「やっぱり別の物件に変えたい」など)
  • 売主は手付金を返金し、かつ同じ額を買主に支払えば、途中で契約を解除できる(「やっぱり売るのをやめて家族で使いたい」など)
  • ただし、契約で定めた期限を過ぎたり、相手方が引き渡しに関わる約束事(解体やリフォームなど)に着手していたら契約解除はできない

事前に決めた期限までは手付金分を相手に支払うことで契約を解除できますが、それを過ぎたら契約違反の扱いになります。

手付金の上限については、一般の個人間で売買する場合は特に決まりがありません。相場は売買代金の10%ですが、「融資を受ける前に10%も出せない」という買主もいるため、50万円〜100万円くらいに設定することもあります。

逆に10万円や20万円ですと簡単にキャンセルできてしまう額ですので、契約に重みを持たせる意味でも50万円以上は設定したいところです。

金額はケースバイケースですから、仲介業者を挟んで協議することになります。

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売主が手付金を無条件で返金しなければいけない場面もある

上記の契約を結んだとしても、売主が無条件で手付金を買主へ返金しなければならない場面があります。

それは、買主のローン審査が「非承認」となったために契約が解除された場合です。

銀行の融資が受けられず売買代金を調達できない以上、取引は無かったものになるのです。

売主としては「買主の審査を待っていたのにキャンセルされるとは…」と残念な気持ちになりますが、こればかりは仕方ありません。

この約束を「ローン特約」と呼んだりしますが、売買契約書には以下のような内容が記載されます。

  • 買主が融資を申し込む金融機関・金額・申し込みに必要な書類の提出期限・承認の予定日
  • 契約の締結後、買主はすぐに融資の申し込み手続きをすること
  • 期限までに融資の承認が得られない場合は、契約は自動的に解除される
  • 契約解除になった際は、売主は受け取り済みの手付金を無利息で返金すること
  • 買主がやるべき手続きを行わなかったり、意図的に虚偽の書類を提出したことで承認が得られなかった場合は、自動解除にならない

5番目の項目の事例としては、契約後に別の物件を気に入ってしまった買主が、融資審査が通らないよう虚偽申告や細工をするようなケースです。

ほぼ無いとは思いますが、このような場合はローン特約による解除が認められないので、買主に手付金を放棄してもらうことになります(または契約違反による違約金対象)。

終わりに

売買契約書を締結し、手付金の授受があると、当事者に法的責任が生じることがおわかりいただけたと思います。

手付金とローン特約について、売主と買主がよく内容を理解しておかないとトラブルの原因にもなります。実際、手付金の返金をめぐる紛争も繰り返し起きています。

過去の裁判例を知りたい方は、こちらのサイトをご覧ください。

参考サイト:一般財団法人 不動産適正取引推進機構

私も以前、ローン特約で困った出来事がありました。金額の大きい事業用物件の売買だったため買主のローン審査が8カ月にも及び、その結果が「非承認」に…。

調べたところ、融資予定だった銀行が勧める金融商品を買主が利用しなかったことを理由として、承認が下りなかったことが判明しました。

私としては、スルガ銀行の不正融資問題もあったので慎重に審査しているものと思っていましたが…。銀行に対して「融通を利かせてほしい」と要望しましたが受け入れられず、結局、ローン特約による契約解除になりました。

「引き渡し延期の覚書」も交わし、決済を待っていた売主もがっかり。「8カ月も待ったのに手付金を全額戻せなんて納得できない。銀行側の都合にも左右され、審査の進め方に問題があったのでは?」と裁判も検討しましたが、別の買主を探した方が早い-とやむなく諦めました。

(程なく新しい買主が見つかったので、結果的に良かったですが…)

以上、ローン特約を結ぶ際の参考にしていただければと思います。

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