今回ご紹介したい動画は、税理士・橘慶太さんの【相続税の計算方法を解説します 初心者向け】です。
計算で間違いやすいポイントを押さえており、事例もわかりやすいです。相続税の対象になりそうな方は動画を参考にしてください。
相続税の計算方法は、以下の5つのステップを踏みます。
- 遺産総額を計算する
- 基礎控除を引く
- 法定相続人が法定相続分を受け取ったと仮定して、各人の相続税を算出する
- 算出した各人の額を合計し、実際に各人が相続した割合に応じて按分する
- それぞれ税額控除や2割加算を行い、各人の税額を確定する
相続税がいくらか計算する方法は?
相続税を計算する5つのステップを、例を挙げながら補足します。
①遺産総額を計算する
まずは預貯金・不動産・生命保険・株などの財産がいくらになるのか総額をまとめます。
預貯金は残高を見ればすぐわかりますが、不動産(土地・建物)は国税庁の路線価や固定資産税評価額をもとに計算するので少し難しくなります。
正確な評価額については、税理士に相談するようにしましょう。
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②基礎控除を引く
基礎控除とは、3,000万円+(600万円×法定相続人数)の額です。
例えば、夫が亡くなり、妻・長男・次男の3人が法定相続人の場合は4,800万円が基礎控除額になります。この控除額を①の遺産総額から引き算します。
③法定相続人が法定相続分を受け取ったと仮定して、各人の相続税を算出する
②の引き算で出た額(=相続税の課税対象額)を、法定相続人で分けます。
ポイントは「仮定して」という点。実際にどう分けるかではなく、あくまで国が定めた相続人&相続割合で分けるのです。
例えば、②の課税対象額が1億円だった場合、妻が5,000万円(2分の1)、長男が2,500万円(4分の1)、次男が2,500万円(4分の1)が法定相続分です。
この各人の金額に、それぞれ相続税率を掛け算します。相続人ごとに計算する点に注意しましょう。
税率は以下の通りです。
区分 | 税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | なし |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億超え | 55% | 7,200万円 |
上記の例をもとに計算すると…
- 妻 5,000万円×20%−200万円=800万円
- 長男 2,500万円×15%−50万円=325万円
- 次男 2,500万円×15%−50万円=325万円
…が、それぞれの(仮定の)相続税になります。
④算出した各人の額を合計し、実際に各人が相続した割合に応じて按分する
③で計算した3人の相続税額を足し算し、家族全体の数字を出します。
800万円+325万円+325万円=1,450万円。この額を実際の相続割合に応じて按分します。
例えば、3人が協議の末に財産を均等に分けた場合には、1,450万円÷3=483万円が各人の相続税になります。
計算上の都合で法定相続分を用いただけで、実際の分け方は自由です(相続人が納得していれば)。
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⑤それぞれ税額控除や2割加算を行い、各人の税額を確定する
さらに、配偶者の税額軽減制度(=1億6,000万円または法定相続分額のいずれか高い方が控除される)を利用したり、相続税2割加算(=配偶者・子供・親以外の人が相続した場合は20%増しになる)を行い、それぞれの相続税額が確定します。
終わりに
上述の通り、相続税の計算は手順がややこしいです。
なぜ、わざわざ「法定相続分で分けたと仮定して」計算するかと言うと、相続財産の評価は高額なため、分け方によって税率が変わってしまい影響が大きいからです。
分け方も重要なポイントです。相続人の数が少ない=基礎控除額が下がる=相続税率が上がるということになるので、一次相続(両親の片方が亡くなった)と、二次相続(残された配偶者が亡くなった)でのバランスも考慮する必要があります。
ここから先は、やはり専門家に相談するようにしてください。
遺産総額がいくらになるのか、元気なうちに財産目録事にまとめておくと検討もスムーズだと思います。
なお、控除によって相続税がかからない場合であっても、相続登記の費用は必要になる点は押さえておきましょう(不動産の固定資産税評価額× 0.4%)。