不動産の売買契約書では、土地の測量をしてから取引するのか、それとも測量せず登記簿の面積で取引するのかを明記することになっています。
つまり、測量なしでも売買できます。
ただし、測量にも種類がありますので、今回はその基本を確認します。
また、私が最近耳にした土地家屋調査士がらみの“怖い話”もシェアしたいと思います。
測量の種類&測量すべきケースとは?
測量には確定測量と現況測量があります。
[確定測量]=対象物件に接している土地の所有者・役所関係の人にも立ち会ってもらい、境界の位置をはっきりさせる測量。全員の承諾印が集まれば、境界確定図を作ります。
[現況測量]=隣接土地の所有者の立会いは行わず、対象物件の境界標・塀・柵などの現況のみを調べる測量です。必ずしも境界が確定しているとは言えません。
売買契約での「測量」とは通常、確定測量のことを指します。
過去に確定測量を行なっている土地でしたら、売買時に測量しなくてもいいでしょう。一方で、境界が曖昧な土地は、将来の紛争防止のためにも行った方がいいです。
相続で代々受け継いできた土地で、境界標が劣化しているような場合も、実際の面積と登記簿の面積とで差がある可能性が高いので、測量すべきでしょう。
売買契約書には「売主は物件の引き渡し日までに、隣地との境界を買主に明示する」という文言も入っており、売主に説明責任があります。
確定測量を行うことで、隣地との越境問題や認識のズレが発覚することもあるかもしれませんが、早めに解決してリスクを持ち越さないことが大切です。
測量の費用や負担について
測量の費用は、基本的に売主が負担します。
一般的な住宅地における測量費用と期間の目安は、以下の通りです。
[確定測量]=30万円〜60万円、1カ月〜2カ月(隣接地権者への通知、役所への予約など準備があるため)
[現況測量]= 10万円〜20万円、1週間〜1カ月
※金額は、土地面積や地権者数などによって変わります
確定測量には時間がかかります。買主が決まる前に売主が手配することが望ましいですね。
いい加減な土地家屋調査士に注意!
測量作業は土地家屋調査士に依頼することになりますが、最近、2人の地主さんから“悪徳調査士”の話を立て続けに聞いたので、注意喚起のためにここで紹介します。
【ぼったくられた地主Aさん】
5筆ある土地の測量・筆界確定・地積更正登記を、仲介業者から紹介された調査士に依頼。118万円の請求額は高いと感じたものの、それくらいかかるものと思って支払った。
後日、別件で知り合った調査士にその話をすると「うちなら同じ仕事で80万円も行かないですね」とのこと。
118万円の内訳もチェックしてもらったところ、現地にプラスチック杭を打ち込むのに5万円(→相場5,000円くらい)、写真・図面を閉じ込んだファイル作成で10万円(→無料で提供できる)と、法外な料金を取られていたことが発覚した。
【文書を偽造された地主Bさん】
所有土地の隣が空き地になっていたため、可能なら買い取ってアパートを建てたいと考えた。仲介業者に空き地所有者との交渉を依頼したところ、すんなり売却OKが出たと報告があった。
ところが、その仲介業者が別のお客に情報を流して売買契約しようとしていたことが判明し、慌ててストップを要求。すったもんだの末、何とか空き地を買い取れることになったものの……知らぬ間に空き地の確定測量図が作成されていた(上述の通り、確定測量には隣接所有者=Bさんの承諾印も必要)。
「私は境界立会いも署名捺印もしていないのに、なぜ確定図が作られているんですか!」。測量を担当した土地家屋調査士に確認書を見せてもらうと、他人の筆跡で(Bさんの)名前が書かれ、判子も押してあった。
結託した仲介業者と調査士の仕業だと気づき、私文書偽造だと抗議。話し合いの結果、仲介手数料をタダにしてもらった。
終わりに
上記のような悪徳調査士はごく一部でしょうが、やって良いことと悪いことの“境界線”くらい、見極めてほしいものですね…。
測量を依頼する際には、まずは複数の土地家屋調査士から見積もりを取るのも手だと思います。また、見積書に不明な用語や項目があったら、遠慮せず質問するようにしましょう。
弊社でも調査士を紹介できますので、よろしかったらご相談ください。
調査士に限らず、どの業種にも素人をターゲットに悪徳な商売をする人間は存在します。注意しましょう。
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