前から気になっていた本【恐い間取り2】(二見書房)を読んでみました。
自殺・他殺・自然死などが発生した賃貸物件…いわゆる“事故物件”ばかりを選んで居住し、その実体験を発信しているピン芸人・松原タニシさんの著書です。
「物好きな人もいるもんだなぁ…」と思いながら、そんな私も事故物件に何度か関わったことがあり、つい気になって【恐い間取り2】を購入しているわけで…。
すごく売れてるみたいですね。
本の感想を思いつくまま書きますので、興味あったらお読みください。
「恐い間取り2」の内容とは?
これまで10件の事故物件に住んできたという松原タニシさん。契約に至らなかったけれど内見した物件も含めれば、相当数の“現場”を見てきたようです。
【重版決定】
『事故物件怪談 恐い間取り2』
3刷決定!
そして
『事故物件怪談 恐い間取り』
21刷決定!
ありがとうございます。
映画も原作も両方よろしくお願いします。#恐い間取り2#恐い間取り#二見書房#事故物件恐い間取り pic.twitter.com/afHqNNyiIM— 松原タニシ (@tanishisuki) July 28, 2020
【恐い間取り2】の内容は、こんな感じです。
- 松原タニシさんが住んできた事故物件の間取り図を公開
- 入居中に体験した怪奇現象(?)を紹介
- 芸人仲間や友人から教えてもらった、事故物件にまつわる怖い話
- 各地の廃墟ホテル・旅館めぐりをした様子
私は心霊現象のたぐいを信じない人間なのですが、たびたび登場する怪談チックなエピソードは、それなりに楽しめました。
ゾクゾクするような話や、気分が悪くなるような描写などは一切ありません。心臓の弱い方でも大丈夫な内容かと思います。
2020年8月28日には【恐い間取り】の映画も公開されるほどの人気ぶりなんですね。
ARVE Error: Mode: lazyload not available (ARVE Pro not active?), switching to normal mode事故物件に引っかけた怪談というところが、新しいテイストを生んでいるようです。
恐い間取り2の感想…やっぱり最も怖いのは“生きてる人間”
【恐い間取り2】で私が印象に残ったのは、トイレで高齢女性が孤独死した物件の話。
松原タニシさんがトイレを使う度に“おばあちゃんのにおい”がするそうで、おそらく個室だけに発見が遅れてしまい、臭いが染み付いてしまったのでは?とのこと。
これは、わかる気がします。
厚労省のデータによると、突然死の約5%は高齢者がトイレで起こした脳卒中や心筋梗塞という事実。力み過ぎ、が良くないみたいです。
そういえば、私が取引しているクリーニング業者も、最近お年寄りが孤独死した物件の清掃に行ったそうです。部屋はゴミだらけ、強烈な臭い、亡くなった人が横たわっていた部分に黒いシミが付着…。「しばらくは食事が喉を通らなかったです」と言っていました。
関連記事:特殊清掃(孤独死)の現場動画を紹介!アパート大家の対応策はある?
あと、個人的に【恐い間取り2】の中で驚いたことと言えば、こんな面々がいたことでしょうか…
- 事故の事実をひた隠し、そのまま次の入居者を入れようとする大家さん
- 事故の痕跡が残っている部屋でも、リフォームすることなく入居募集している不動産屋
- 家賃が安くなっている沖縄の事故物件ばかりを借り、外国人観光客に転貸しようとする県外の民泊業者
- 相場より格段に家賃が安い“おとり物件(実際には存在しない物件)”の広告を出し、来店客を集める不動産屋。来店客には「お問い合わせの物件は、事故物件ではないんですが、オーナーが反社会的勢力で、ほかの入居者には前科持ちもいるんですよ」などと嘘をつき、結果、もっと家賃の高い物件を勧めて契約を取ろうとする
上記の話の方が怪談よりも怖いですね…。
自分たちさえ儲かればいい…という業者がいるのは残念です。いつか絶対にトラブルを起こしますよ。
大家さんにより良い改善策を提案したり、入居者さん目線になって部屋をキレイにすることは、不動産業者の大切な仕事だと思うのですが…。
「幽霊よりも生きている人間が一番怖い」なんてフレーズがありましたが、本当にそうかもしれませんね。
まとめ…事故物件との向き合い方
松原タニシさんは、【恐い間取り2】のあとがきにこんな内容を書いていました。
僕が平然と事故物件に住めるのは、向き合い方がわかってきたからです。
忌み嫌わず、過剰に悼まず。
ただ、自分が直接関わった死者や死の現場には少し肩入れしてしまうことは否めません。それは自分と関わる人達には幸せになって欲しいと思う気持ちと似たようなことではないでしょうか。
死者と向き合うことは、人と向き合うことと同じなのかもしれません。
このフレーズ、私は妙に納得した次第です。
実は現在、17年前に旧・所有者が室内で自死した家を預かり管理しています。取引先からの紹介でした。
家財がそっくり残っており、仏壇・遺影・位牌もあるため、賃貸にも売却にも出せません。
遠方にいる現・所有者は訳あって管理できない状況で、片付けは進みません。
ですが、松原タニシさんの言葉のように、私には他人事には思えなくなり、時間が空いたときには可能な範囲で片付けをするようになりました。
つい先日も、汗だくになって庭の草刈りをしてきたところです。
いつかキレイになった段階で、賃貸または売却の物件として情報を出せればと考えています。そのときは「間取り」も一緒に公開しますね。
今のところ、お話できるような怪談などは一切起きていません。これが現実です。