中古住宅の購入を考える際に「地震が来ても建物は大丈夫だろうか?」と気になる方も多いと思います。
建築基準法には「耐震基準」があり、地震に耐えられる最低限度の構造でないと家の建築が認められないことになっています。
ただし、その基準も大地震のたびに見直されており、建物の築年月によって「旧耐震」と呼ばれたり「新耐震」と呼ばれたりしています。
中古住宅には旧耐震の物件も数多くありますが、そもそも旧耐震は震度いくつまで耐えられるものなのでしょうか?
今回は、耐震基準の基本について確認しますので、中古住宅を検討する際の参考にしてください。
旧耐震基準とは?いつから新耐震になったの?
旧耐震基準とは、1950(昭和25)年11月23日に施行された(古い)建築基準法による基準のことを指します。
参考までに、日本の地震と耐震対策の移り変わりをざっと見てみましょう。
- 1923年、関東大震災が発生
- 1924年、市街地建築物法が改正され、建材の安全率を高めるよう求められた
- 1950年、建築基準法施行
- 1968年、十勝沖地震が発生
- 1971年、RC造の帯筋の基準が強化された
- 1978年、宮城県沖地震が発生(最大震度5)
- 1981年6月1日、建築基準法の大幅な改正により新耐震基準になる
- 1982年、建物に必要な筋交い(柱の間などに斜めに交差させて取り付けた木材)の数が、今の基準になる
- 1980年代後半、住宅需要が急増。熟練工の不足により欠陥工事も多かった
- 1995年、阪神・淡路大震災が発生(最大震度7)
- 2000年、建築基準法が改正され、基礎の寸法や金具について規定されるようになった
- 2004年、新潟県中越地震が発生(最大震度7)
- 2005年、耐震強度偽装問題が発覚し、社会問題化
- 2007年、建築基準法が改正され、構造基準がより厳しくなり、専門家による構造計算のチェックなどが義務づけられた
- 2011年、東日本大震災が発生(最大震度7)
現在の基準は、上記の1981年に施行された新耐震基準であり、6月1日以降に建築確認済証が交付された建物は、震度6強〜7の地震でも倒壊しないことが前提になりました。
旧耐震基準は震度いくつまで耐えられるの?
中古住宅では旧耐震基準の物件も多いですが、震度いくつくらいまで耐えられるのでしょうか?
1950年の基準では「おおむね50年に一度起きる地震の揺れでも崩壊しない程度の強さ」を求めており、具体的な震度は示していません。
とはいえ、旧耐震はだいたい震度5前後でも耐えられることを想定した基準と言われています。あくまで「倒壊しない程度」という表現ですので、震度5の地震により建物にヒビが入るという可能性はあり得ます。
なお、6,434人が亡くなった阪神・淡路大震災では、死因の90%は「住宅などの倒壊による圧死」で、被災した木造家屋の98%は旧耐震基準で建てられていたことが明らかになっています。
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確実さを望むなら1983年以降の中古住宅を
中古住宅の購入を検討していて“確実さ”を求める場合は、1983年以降に完成した物件を選びましょう。
新耐震は1981年施行ではありますが、それから建築確認申請をして家が完成するまでの工期を加味すると、1983年のラインかと思います。
とはいえ、旧耐震で建てられても強度がしっかりしている物件もあれば、新耐震でも1980年代後半のバブル期に手抜き工事された物件もあったりします。
あくまで“新・旧”は一つの目安と考えてください。
もし耐震性能の高さを家選びの「譲れない条件」にしている方は、築古の中古住宅は選択肢から外し、築浅または新築の建売や注文住宅を検討するようにしましょう。
中古マンションの場合はどうか?
中古の分譲マンションも同様に、旧耐震は震度5強くらいの揺れでも倒壊しないレベル、新耐震は震度6強〜7くらいの揺れでも倒壊しないレベルを確保しています。
「旧耐震のマンション」と聞くと不安を感じるかもしれませんが、大地震の中でも無事だった物件は多いです。耐久性の高い設計で建てられているかが重要です。
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ただ、旧耐震のマンション購入を検討する際は「耐震診断が行われているか?」「耐震改修工事が行われているか?」を、売主または不動産業者に確認するようにしましょう。
一定の耐震性を満たさないと、住宅ローン申し込みや住宅ローン減税が受けられない可能性もあるからです。
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上述した中古住宅の場合と同様、確実に新耐震をクリアしている物件を求めるなら、1983年の後半以降に竣工したマンションを選ぶことをお勧めします。
マンションが完成するまでには、約1年半の工期が必要とされるからです。