空き家の増加にも伴い、マイホームとして中古一戸建の購入に注目する人が増えています。
分譲マンションに比べて自由度が高いほか、一戸建は市街地から郊外まで広いエリアにあるため選択肢が増えるからです。
今回は、中古一戸建の5つのメリットや、購入に際して注意すべき点について取り上げたいと思います。
中古一戸建の5つのメリットとは?
①マイホームを割安で取得できる
当然のことですが、中古物件ですから新築よりも20%〜50%ほど安く買うことが可能。木造の建物は築後22年でほとんど価値がないものとみなされますので、物件によっては土地の値段のみで住宅を買えることになります。
参考までに、新築マンションの価格構成を見てみましょう。マンションは土地全体を自己所有することはできず、建物価格が高い割合を占めることになります。しかもその建物価格には、土地の仕入れ費用30%・建設費40%・諸経費10%・販売業者の利益20%…と諸々が載せられた設定になっているのです。
中古一戸建には、このような上乗せはありません。
②土地を所有する強み
中古一戸建は、建物と土地がセットになっていますが、土地の価格の方が建物よりも高くなっています。建物は築年数が経過した分、価値が下がっているからです。
しかし土地については、地価が大きく変動しない限り資産価値は変わりません。地価は全国的に上昇傾向にあります。
土地を次世代に引き継ぐこともできます。
③物件の選択肢が広い
上述した通り、中古一戸建は市街地から郊外まで広いエリアで売りに出ているので、住みたい場所や希望の間取りを探すことができます。
また、安い物件を購入して建物を自由にリフォームすることも可能。将来を見据えた色々なプランを立てる楽しさがあります。
④建て替えも自由
分譲マンションの場合、所有者みんなで使う共用部分もあるため、大規模リフォームや建て替えをするにも一定数の賛成の決議が必要になります。すると所有者の中で賛成と反対に割れてしまい、なかなか話が進まないことも…。
それに比べて一戸建は、所有者の自己判断で修繕・建て替えが自由に行えます。
⑤マンションのような月々の支払いがない
マンションでは、毎月の管理費(共用部の維持費)や修繕積立金(建物のメンテナンスやリフォームのための費用)をずっと払い続ける必要があります。駐車場を借りる場合は、その料金もかかります。
もちろん中古一戸建も維持・リフォームなどの費用がかかりますが、マンションほどの出費ではありません。
中古一戸建を購入する際の注意点
とはいえ、メリットばかりではありません。中古一戸建を購入する際の注意点を3つ挙げたいと思います。
①経年劣化があるものと考える
築年数が経過した中古一戸建には、色々な箇所に傷みや不具合があるものです。雨漏り・シロアリ・結露・壁のひび割れ・水道管のサビ・水漏れなどです。
リフォーム済みの中古物件でも「水道水にサビが混ざる」という例もありました。内見時や契約前などに細かくチェックしたり、仲介業者に確認するようにしてください。
住宅診断(インスペクション)を行っているか、瑕疵(かし)保険に加入しているか…なども確認し、ない場合には自己負担で手配することも検討しましょう。
関連記事:中古一戸建の売却理由は必ずチェック!値引き交渉できるケースとは?
②リフォーム費用が高額になることも
中古一戸建を安く購入してリフォームするとしても、内外装や外構すべてに手を加えようとすると予想以上に費用がかかるものです。予算や範囲を決めた上で、リフォーム業者から見積もりを取って検討しましょう。
建物の構造によっては好みのリフォームが行えない場合もありますので注意が必要です。
リフォーム済みの中古物件を購入し、足りない部分を自己手配で直すのも一つの方法です。
③住宅ローン審査や控除利用への影響も
築年数が古い建物ですと、耐震性の問題から住宅ローンの審査が通りにくいこともあります。また、住宅ローン控除(減税)を受けるにも手間と費用がかかります。
住宅ローン控除とは、返済期間10年以上のローンを組んだ場合に、年末の借り入れ残高に応じて一定額が所得税・住民税から控除されるもの。これを受けるためには「築20年以内の住宅であること」または「新耐震基準(1981年6月1日以降)に適合していること」という条件があります。
参考サイト:国税庁 中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)
築20年を超えている住宅は、新耐震に適合していることを証明する必要があります。そこで、建物の検査と保証がセットになった「既存住宅売買瑕疵(かし)保険」に加入する方法があるのですが、その手続きにかかる保険料・検査料を負担することになります。
以上の注意点を考慮しながら、中古一戸建ての購入を進めるようにしてください。